北海道厚真町にある喫茶寒露は、静かな住宅地にひっそりと存在する小さなカフェです。訪れたのは火曜日の午後、入り口を入るとすぐに靴を脱いで上がるよう促され、その雰囲気からすでに心が落ち着きます。店内の高い天井や梁の質感は、まるで築年以上の古民家にいるような錯覚を覚えました。ご主人は静かに迎えてくれ、その丁寧な接客に驚かされました。この建物は大正時代に建てられたものを移築して再構築したそうで、柱や梁の質感からもその歴史を感じ取れます。そんな古き良き建物の雰囲気と、現代的な空間の融合が、このカフェの魅力の一つです。
店内にはテーブル席が4席、ちゃぶ台が1席と、それほど広くないながらも落ち着いた空間が広がっています。クラシックの音楽が流れ、薪ストーブの暖かさが心地よいです。客層は地元の住民や観光客が混在し、家族連れや独りで訪れる人も見かけました。ランチタイムには、Aランチセットが人気で、味付けや量も丁寧で満足感が得られます。特に揚げ鶏のキノコあんかけは、味のバランスが絶妙で、ご飯に合う一品です。スープもシンプルながらも美味しく、このカフェの料理の特徴を物語っています。
このカフェの魅力は、食材の質と調理方法にあります。例えば、Aランチのサツマイモのパウンドケーキは水分が少なく、優しい甘さで、挽きたてのコーヒーと相性が良いです。また、人参とレーズンのサラダは、箸休めとしての存在感を発揮し、ほのかな甘さと酸味が絶妙です。さらに、ナスとシメジの味噌和えは、塩加減が絶妙で、ご飯を一膳食べられるほど美味しいです。これらの料理は、手作りで丁寧に作られているのが伝わってきて、食事の質に満足感が得られます。
特に注目したいのは、ご主人夫妻の親しみやすさと丁寧な接客です。静かな空間でのんびり過ごすには最適で、慌ただしい日常から離れたい人にはおすすめです。また、ランチメニューは時間の制限がなく、ゆっくり食事を楽しめるのも嬉しい点です。再訪する人が多いのも納得できます。特に、季節限定のカボチャのグラタンやスパゲティは、素材の味を活かした料理で、味の奥行きを感じさせます。また、スコーンは出来立てで、バターや小麦の香りが食欲をそそります。
この喫茶寒露は、単なるカフェではなく、時間の流れを感じさせる空間と、心地よい食事で訪れる人を包み込むような存在です。古き良き建物の雰囲気と、現代的な料理の融合が、訪れる人々に特別な時間を提供しています。静かな住宅地にありながらも、地元の人々の憩いの場として定着している様子が伝わってきます。もし北海道を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。心が癒される時間と、美味しい料理を味わえる場所です。